ハウスメーカーの参戦と慎重な消費行動
主要ハウスメーカーの多くは、平均受注単価3000万を超える高額商品に注力してきましたが、いまや一次取得者のマーケットにも、低価格の新商品を次々投入しつつあります。
たとえば三井ホームは標準仕様で坪33坪1980万円〜という「ナチュラルヒュッゲスタイル」を出しています。同程度の価格帯では、ほかにもセキスイハイムの「グランツーユーⅤ」や住友林業の「フォレストセレクションBF」、積水ハウスの子会社積和建設による「積和の木の家」などがあります。
いずれも規格型とはいえ性能や設備のほかデザインも非常に洗練され、ハウスメーカーのブランド力と相まって、顧客にとって魅力的な住宅商品となっています。
本来、工務店のボリュームゾーンであるこの価格帯は、ローコスト系のパワービルダーやディベロッパーの土地付き住宅とも競合が激化し、益々厳しいレッドオーシャンになっていくでしょう。
一方の施主においては、増税の心理的圧力も高まり慎重な消費行動が顕著で、リスクを避ける傾向にあります。「理想の家づくり」を求めるのと同じぐらい、「失敗しない家づくり」を意識していると言えます。
いつの間にかミスっていませんか?
性能も施工も他社に負けないレベルなのに、いまひとつ受注が伸びないとしたら、それはなぜでしょうか。ハウスメーカーの牽引で、昨今の住宅建材や住宅設備は飛躍的に充実しています。その結果、もはや条件が同じなら、誰が作っても同じ家になってしまいます。住宅商品はすっかりコモディティ化したと言えるのではないでしょうか。
商品に差がないとして、施主に選んでもらえるための条件とはなんでしょう。リスクを避けたい施主にとっては、何を、いくらで、誰から買うのか?が大事です。この3点に着目して接客のシーンを振り返ってみてください。ひょっとして次のようなやり取りをしていませんか?
ざっくり要望を聞き、取りあえずプランを出す
なんでもご要望に応えられるとアピールする
ご要望が二転三転してプランが決まらない
はじめに予算は決めず、金額提示は最後までしない
他社に負けない低価格で勝負する
スタッフによってトークの工夫はいろいろ
もうおわかりだと思いますが、これらはみな、何を、いくらで、誰から買うのかについて、むしろ決められなくなるやり取りです。見学会や相談会、ヒヤリングやプラン提案、見積比較など、施主はたくさんの過程を経て家づくりを学び、決断を繰り返していきます。施主からの信頼は、そのすべてのやり取りの総和で勝ち取るのかもしれません。
しかし、施主の気持ちを突き動かし、発注を決めるのはほんの一瞬、実際に接して腑に落ちる「真実の瞬間」です。住宅は施主にとってはリスキーな高額商品であるがゆえ、工務店は最大限その一瞬に注力することが受注を伸ばす決め手ではないでしょうか。
次は、この何を、いくらで、誰からに着目して、受注改善のステップを考えます。
受注改善の4ステップ
- 商品を決める
- 仕組み化する
- 接客に集中する
- 平準化する